2013年10月24日
第4回 英子の場合vol.2
英子の場合・・・vol.1はこちら
英子、29歳、会社員。
肩書はあるセクションの長。
仕事はデスクワーク中心で、1日中PCに向かい、文章を書いたり、記事のレイアウトをしている。文章を書いているときには、Enterキーを右手の薬指で勢いよく叩くクセがある。節目を刻む音がフロアに響くと「これでどうだ!」と戦闘態勢になり、頭が冴えわたってくる。

周りの人がうるさがっているのかどうかは知らないが。テンポよく仕事をするのって大事だと思う。

Enterキーを叩くことで英子さんが使っているのは、多重感覚入力(たじゅうかんかくにゅうりょく)という仕組みです。
私たちは、見たり(視覚)、聞いたり(聴覚)、触ったり(触覚)することで、今、自分が何をしているのか、それがうまく出来ているのか、ということを判断します。この見たり、聞いたり、触ったりして得た情報は、脳の後方連合野(こうほうれんごうや)という場所に集められます(図の赤丸)。

ここに集められる情報が多ければ多いほど、私たちは自分がどんな行動をしているのかが良くわかり、うまく調整できるので、仕事の効率が上がります。
見るだけより触ってみると、よりその形が正確に理解できたり、触ってみて固い物を叩いて「コンコン」という音がすると、その固さの程度がより分かるのは、脳の後方連合野で、複数の情報が合わさって、よりリアルになったからです。
さて、英子さんは、仕事がノッてくるようにEnterキーを勢いよく叩きます。このときに英子さんの脳では、パソコンで書いた文章の節が、キーボードを触るだけでなく、音を出したことでよりリアルになり、「節目がついたぞ!」と認識しやすくなっているのです。
このように脳の中に入る情報が多くなると、脳はそれだけ精度の高い動きを体に命令することができますし、体が命令通りに良く動けば、「(命令通り)成功した!」とやる気も出てきます。
何かを記憶するときに口に出して節目で手を叩いたり、固い鉛筆で「コツコツ」と机の音が聞こえるように書いているときはアイデアが浮かぶ、なんていうのも、同じことです。こんな癖がある方は、自分の能力を高めるために、うまく脳に入る情報を増やしているということです。
文字を書くときに筆圧が強くなり過ぎてしまう人は、固めのノートや鉛筆を使う。いつもメモが手帳の罫線からはみ出してしまう人は、大きめの手帳を使う。こんなふうに普段使う道具を、自分のクセを基準に選んでみると、仕事の効率もアップするはずです。
英子、29歳、会社員。
肩書はあるセクションの長。
仕事はデスクワーク中心で、1日中PCに向かい、文章を書いたり、記事のレイアウトをしている。文章を書いているときには、Enterキーを右手の薬指で勢いよく叩くクセがある。節目を刻む音がフロアに響くと「これでどうだ!」と戦闘態勢になり、頭が冴えわたってくる。

周りの人がうるさがっているのかどうかは知らないが。テンポよく仕事をするのって大事だと思う。

Enterキーを叩くことで英子さんが使っているのは、多重感覚入力(たじゅうかんかくにゅうりょく)という仕組みです。
私たちは、見たり(視覚)、聞いたり(聴覚)、触ったり(触覚)することで、今、自分が何をしているのか、それがうまく出来ているのか、ということを判断します。この見たり、聞いたり、触ったりして得た情報は、脳の後方連合野(こうほうれんごうや)という場所に集められます(図の赤丸)。

ここに集められる情報が多ければ多いほど、私たちは自分がどんな行動をしているのかが良くわかり、うまく調整できるので、仕事の効率が上がります。
見るだけより触ってみると、よりその形が正確に理解できたり、触ってみて固い物を叩いて「コンコン」という音がすると、その固さの程度がより分かるのは、脳の後方連合野で、複数の情報が合わさって、よりリアルになったからです。
さて、英子さんは、仕事がノッてくるようにEnterキーを勢いよく叩きます。このときに英子さんの脳では、パソコンで書いた文章の節が、キーボードを触るだけでなく、音を出したことでよりリアルになり、「節目がついたぞ!」と認識しやすくなっているのです。
このように脳の中に入る情報が多くなると、脳はそれだけ精度の高い動きを体に命令することができますし、体が命令通りに良く動けば、「(命令通り)成功した!」とやる気も出てきます。
何かを記憶するときに口に出して節目で手を叩いたり、固い鉛筆で「コツコツ」と机の音が聞こえるように書いているときはアイデアが浮かぶ、なんていうのも、同じことです。こんな癖がある方は、自分の能力を高めるために、うまく脳に入る情報を増やしているということです。
文字を書くときに筆圧が強くなり過ぎてしまう人は、固めのノートや鉛筆を使う。いつもメモが手帳の罫線からはみ出してしまう人は、大きめの手帳を使う。こんなふうに普段使う道具を、自分のクセを基準に選んでみると、仕事の効率もアップするはずです。
Posted by 日刊いーしず at 12:00
2013年10月10日
第3回 一雄の場合vol.1
一雄、40歳 会社員で営業職。
既婚。同い年の妻がいて、妻も勤めに出ている。
小学校入学前の子どもが二人いる。日中は子供を保育園に預けており、妻が送り迎えをしている。
仕事では、営業部のサブリーダー。人に何かを教えたり、若い世代がそれによって成長していくのを見るのが好き。現在の仕事の上でも、教育や指導をしたり、講師としてセミナーで話をしたりといった場面はあるが、もっと直接的に「教える」ということを自分の仕事にできないかと考えている。今すぐではなくても、たとえば定年後にでも。大学で教員免許を取得しており、これまでに教職に就いたことはないが、そういったことに年々興味が増してきている。

【一雄のとある朝の様子】
先週は出張続きで会社にあまりいなかったため、たまった事務処理を片付けるためにいつもより早く起きて早く起床した。会社に着いてからの仕事の流れを頭の中で組み立てながら朝食を食べる。歯を磨き、顔を洗い、着替えて家を出る。
その間も、出社してからの予定や流れを考えている。

会社近くのコンビニでアイスコーヒーを買ってから出社。いつもの行動。お酒もタバコもやらないが、コーヒーは1日に5~6杯飲むカフェイン中毒。

皆さんは、何かの課題に集中しているときに脳を使っていて、ボーっとしているときは、脳はからっぽだと思っていませんか?実は、ボーっとしているときには、ボーっとするための脳が活発に活動しているのです。
課題に集中しているときの脳は、実行系ネットワークと呼ばれます。それに対して、ボーっとしているときの脳は、デフォルト系ネットワーク。デフォルトとは、初期設定という意味ですが、脳科学では、準備状態という意味で使われます。
下の図のように、私たちの脳は、何もしていないときはデフォルト系ネットワークが活発になり、内側前頭前野(ないそくぜんとうぜんや)、眼窩回(がんかかい)などが働いています。そこで、課題に取り組んでみますと、実行系ネットワークが活発になり、背外側前頭前野(はいがいそくぜんとうぜんや)、頭頂間溝(とうちょうかんこう)などが働きます。

デフォルト系ネットワークは、主に考えをまとめる役割をしています。私たちがボーっとしているときは、脳内では、それまでに詰め込まれた情報の整理が行われているのです。このデフォルト系ネットワークが働くときに、「ひらめき」が起こることが知られています。
デフォルト系ネットワークは、ただ単にボーっとするよりも、自動化されたことをしているときの方がより働くことが知られています。それは、食べることと歩くこと。みなさんも、食事中に「あっ今日あれやるの忘れた!」とか歩いているときに「そうか!あれ調べれば分かるかも」とひらめいた経験があるのではないでしょうか。これが、デフォルト系ネットワークの働きなのです。
ひらめきが起こるなら、このデフォルト系ネットワークを有効活用したいですよね。実は、実行系ネットワークとデフォルト系ネットワークは相反する働きをもっています。一方に脳内のエネルギーを奪われると、一方が働かなくなる。例えば、作業に集中しているときは考え事ができなくなりますし、考え事が頭から離れないときは、作業をしていても何も手につかなくなってしまいます。私たちが仕事やプライベートで能力を発揮するためには、この2つの系統をタイミングよく使い分けることが重要なのです。
さて、一雄さんの脳を見てみましょう。会社に着いてからの仕事の流れを頭の中で組み立てながら朝食を食べる。ここで食事という自動化された作業中にデフォルト系ネットワークを使っていますね。このような使い方は、デフォルト系ネットワークがより活性化しますので、会社のデスクの風景や、昨日までに伝達されていた事項など、様々な記憶が効率よく検索されて、その日の段取りが立てやすくなります。
男性は食事中にデフォルト系ネットワークを使う傾向が強いようです。男性にとって食事は自動化された運動かもしれませんが、注意したいのが奥さまとの食事。女性にとって食事は、食べ物を食べるというより、コミュニケーションの要素が強いです。朝食のときぐらいしか話をする時間がない中で、その時間を考え事に使われてしまうと、奥さまとしてはイライラのもとにも。デフォルト系ネットワークが使われているときは、他人から見ると「心ここに在らず」という様子です。「ちゃんと私の話を聞いてるの?」と言われてしまわないように、場面によって脳の活動を切り替えたいですね。
そして、会社近くのコンビニでアイスコーヒーを買ってから出社といういつも通りの行動。これもデフォルト系ネットワークを活用する良い方法です。朝の行動をいつも同じにして自動化することで、実行系ネットワークにエネルギーをもっていかれないようにセーブしています。
一雄さんにとって朝の時間とは、考えをまとめる重要な時間なようですね。この時間にデフォルト系ネットワークが上手に使えるようにうまく行動が配置されていました。
ん?なんか変ですね。コーヒーは1日に5~6杯飲むカフェイン中毒。実は、一雄さん、朝に考え事をするのはあまり良くないサインかもしれません。
一雄さんがコーヒーを多飲するのは、脳がしっかり目覚めていないから。下図のように、カフェインには、脳に眠くなる物質(プロスタグランディンD2)が溜まったままで、脳を眠らせるGABAをブロックする作用があります。

つまり、脳の働きは低下したまま、眠れないという状態。カフェインには目を覚めさせる働きはないのです。
一雄さんが、朝に考え事をするのは、実は、脳をしっかり目覚めさせて作業に集中する実行系ネットワークが使えなくなっているからです。しっかり目覚めていないから考え事をしてしまっている。それを自分では、朝は考え事をする時間だと思い込んでしまっています。
そこで、一雄さんが、朝の時間をもっと有効活用できるための方法はこちら。
「目覚めたら窓から1m以内のところに入る」
脳に溜まった睡眠物質は、光を見ると減って、脳がしっかり目覚めます。光を見るのは、目覚めてすぐのタイミングが最も有効。そして、部屋の照明では暗いので、窓から1m以内に入る。直射日光でなくても、外の光が脳に届いて、スッキリ目覚めます。2週間継続すれば、コーヒーの量、減ってきますよ!
クセには、自分を活かすものもありますが、うまくいっていないことをカバーするために脳が命令しているものもあります。クセを見抜いて、もっと自分を活かす習慣を見つけていきましょう!
既婚。同い年の妻がいて、妻も勤めに出ている。
小学校入学前の子どもが二人いる。日中は子供を保育園に預けており、妻が送り迎えをしている。
仕事では、営業部のサブリーダー。人に何かを教えたり、若い世代がそれによって成長していくのを見るのが好き。現在の仕事の上でも、教育や指導をしたり、講師としてセミナーで話をしたりといった場面はあるが、もっと直接的に「教える」ということを自分の仕事にできないかと考えている。今すぐではなくても、たとえば定年後にでも。大学で教員免許を取得しており、これまでに教職に就いたことはないが、そういったことに年々興味が増してきている。

【一雄のとある朝の様子】
先週は出張続きで会社にあまりいなかったため、たまった事務処理を片付けるためにいつもより早く起きて早く起床した。会社に着いてからの仕事の流れを頭の中で組み立てながら朝食を食べる。歯を磨き、顔を洗い、着替えて家を出る。
その間も、出社してからの予定や流れを考えている。

会社近くのコンビニでアイスコーヒーを買ってから出社。いつもの行動。お酒もタバコもやらないが、コーヒーは1日に5~6杯飲むカフェイン中毒。

皆さんは、何かの課題に集中しているときに脳を使っていて、ボーっとしているときは、脳はからっぽだと思っていませんか?実は、ボーっとしているときには、ボーっとするための脳が活発に活動しているのです。
課題に集中しているときの脳は、実行系ネットワークと呼ばれます。それに対して、ボーっとしているときの脳は、デフォルト系ネットワーク。デフォルトとは、初期設定という意味ですが、脳科学では、準備状態という意味で使われます。
下の図のように、私たちの脳は、何もしていないときはデフォルト系ネットワークが活発になり、内側前頭前野(ないそくぜんとうぜんや)、眼窩回(がんかかい)などが働いています。そこで、課題に取り組んでみますと、実行系ネットワークが活発になり、背外側前頭前野(はいがいそくぜんとうぜんや)、頭頂間溝(とうちょうかんこう)などが働きます。

デフォルト系ネットワークは、主に考えをまとめる役割をしています。私たちがボーっとしているときは、脳内では、それまでに詰め込まれた情報の整理が行われているのです。このデフォルト系ネットワークが働くときに、「ひらめき」が起こることが知られています。
デフォルト系ネットワークは、ただ単にボーっとするよりも、自動化されたことをしているときの方がより働くことが知られています。それは、食べることと歩くこと。みなさんも、食事中に「あっ今日あれやるの忘れた!」とか歩いているときに「そうか!あれ調べれば分かるかも」とひらめいた経験があるのではないでしょうか。これが、デフォルト系ネットワークの働きなのです。
ひらめきが起こるなら、このデフォルト系ネットワークを有効活用したいですよね。実は、実行系ネットワークとデフォルト系ネットワークは相反する働きをもっています。一方に脳内のエネルギーを奪われると、一方が働かなくなる。例えば、作業に集中しているときは考え事ができなくなりますし、考え事が頭から離れないときは、作業をしていても何も手につかなくなってしまいます。私たちが仕事やプライベートで能力を発揮するためには、この2つの系統をタイミングよく使い分けることが重要なのです。
さて、一雄さんの脳を見てみましょう。会社に着いてからの仕事の流れを頭の中で組み立てながら朝食を食べる。ここで食事という自動化された作業中にデフォルト系ネットワークを使っていますね。このような使い方は、デフォルト系ネットワークがより活性化しますので、会社のデスクの風景や、昨日までに伝達されていた事項など、様々な記憶が効率よく検索されて、その日の段取りが立てやすくなります。
男性は食事中にデフォルト系ネットワークを使う傾向が強いようです。男性にとって食事は自動化された運動かもしれませんが、注意したいのが奥さまとの食事。女性にとって食事は、食べ物を食べるというより、コミュニケーションの要素が強いです。朝食のときぐらいしか話をする時間がない中で、その時間を考え事に使われてしまうと、奥さまとしてはイライラのもとにも。デフォルト系ネットワークが使われているときは、他人から見ると「心ここに在らず」という様子です。「ちゃんと私の話を聞いてるの?」と言われてしまわないように、場面によって脳の活動を切り替えたいですね。
そして、会社近くのコンビニでアイスコーヒーを買ってから出社といういつも通りの行動。これもデフォルト系ネットワークを活用する良い方法です。朝の行動をいつも同じにして自動化することで、実行系ネットワークにエネルギーをもっていかれないようにセーブしています。
一雄さんにとって朝の時間とは、考えをまとめる重要な時間なようですね。この時間にデフォルト系ネットワークが上手に使えるようにうまく行動が配置されていました。
ん?なんか変ですね。コーヒーは1日に5~6杯飲むカフェイン中毒。実は、一雄さん、朝に考え事をするのはあまり良くないサインかもしれません。
一雄さんがコーヒーを多飲するのは、脳がしっかり目覚めていないから。下図のように、カフェインには、脳に眠くなる物質(プロスタグランディンD2)が溜まったままで、脳を眠らせるGABAをブロックする作用があります。

つまり、脳の働きは低下したまま、眠れないという状態。カフェインには目を覚めさせる働きはないのです。
一雄さんが、朝に考え事をするのは、実は、脳をしっかり目覚めさせて作業に集中する実行系ネットワークが使えなくなっているからです。しっかり目覚めていないから考え事をしてしまっている。それを自分では、朝は考え事をする時間だと思い込んでしまっています。
そこで、一雄さんが、朝の時間をもっと有効活用できるための方法はこちら。
「目覚めたら窓から1m以内のところに入る」
脳に溜まった睡眠物質は、光を見ると減って、脳がしっかり目覚めます。光を見るのは、目覚めてすぐのタイミングが最も有効。そして、部屋の照明では暗いので、窓から1m以内に入る。直射日光でなくても、外の光が脳に届いて、スッキリ目覚めます。2週間継続すれば、コーヒーの量、減ってきますよ!
クセには、自分を活かすものもありますが、うまくいっていないことをカバーするために脳が命令しているものもあります。クセを見抜いて、もっと自分を活かす習慣を見つけていきましょう!
Posted by 日刊いーしず at 12:00