2013年09月19日
第2回 里美の場合vol.1
◆里美の場合 vol.1
里美、34歳 会社員 既婚、子どもなし
仕事は事務職で、営業マンのサポートを行っている。営業マンとサポートスタッフのチーム。チームの中ではベテランで、営業マンからもサポートスタッフからも頼られる「姐さん」的なポジション。
仕事とは別に、何かを自分で作りたい、と思う気持ちが強くある。それが何なのか、何ができるかわからないけれど、自分が「いいな」と思うものを作ったり集めたりしたい。そういうことに携わりたい。そう思って、この夏は海外の学校に一週間通って、布を染めるコースを学ぶことにした。山の方、自然の中、緑の中で暮らしたいと強く思う。自分が好きな写真を雑誌で見つけると切り抜いて集めている。

【里美のとある朝の様子】
いつもは7時起床だが今日はめずらしく6時30分に目が覚めた。すぐには起き上がらず、少しうとうとしてから起きる。
いつものとおり、炊飯器のスイッチを入れ、洗濯機を回し、自分と旦那の弁当をつくる。
スリッパが嫌いで、家にいるときはできるだけ裸足で歩きたい。でも、そうすると旦那に「不潔だからやめて」と怒られる。
先に出勤する旦那を送り出した後、ラジオを聞きながら朝食。朝はいつもラジオをつけっぱなしでテレビはつけない。食事の後、洗顔、化粧、着替え。
その日着る服は、着替えるその時に決める。今朝は一度服を着た後、何か違うなあと思って服を替えた。着る服は、黒っぽいものを選びがち。ピンクなど明るい色の服も持っているのに、いざ着ようとすると「無理だな、違うな」と思ってしまう。

その後、洗濯物を干し、部屋を片付けてゴミを集めて家を出る。家を出るのは9時。始業が9時30分なのでギリギリだが、いつもこのくらい。早めに起きているのに毎朝ギリギリになってしまう。

私たちの脳は、物事を判断するときに、外から情報を仕入れなければいけません。外から脳に情報が入るための入り口は、3つあります。①視覚(見ること)②聴覚(聞くこと)③体性感覚(触ったり、体を動かすこと)です。
※五感の中の嗅覚、味覚は、特殊な感覚なので、ここでは上記の3つを対象にします。
この3つの入り口のうち、どの入り口が大きいかは、皆さんそれぞれ違います。

例えば、好きな人や恋人、夫婦で相手のことを「いいなー」と感じるときは、次のどれですか?
①相手のファッションや外見を見ているとき

②相手の話や声を聴いているとき

③手をつないだり、体が触れているとき

①の人は、視覚の入り口が大きなタイプ。風景や美術館を鑑賞することが好きで、色や形を眺めることで感動します。相手の洋服の色や形、模様などに注目してほめることが多いです。自分の洋服でも柄やロゴが気に入ったり、CDやスナック菓子、お酒などのジャケ買いをすることがあります。
②の人は、聴覚の入り口が大きなタイプ。ラジオや音楽鑑賞が好きで、人の声や話からの抑揚、テンポに心地よさを感じます。相手の声、話し方、口癖、イントネーションに注目し、それに対して親近感や嫌悪感を抱くことが多いです。CMのフレーズを良く覚えて思わず口ずさんだり、関西出身でもないのに関西弁っぽい話し方をするときがあるなど人の話し方がうつってしまうこともあります。
③の人は、体性感覚(触覚、体の動き)の入り口が大きなタイプ。手工芸やスポーツが好きで、手触りや質感、体の動きを感じることでスッキリします。相手の身に着けているものの素材に注目したり、しぐさや姿勢に注目してほめることが多いです。「ふわっと」「シャキッ」などの擬音語のコピーの商品に魅力を感じてを買うことがが多く、人にスポーツを教えるときも、相手のフォームの観察や言葉で説明するよりも、とりあえずやってみせることが多いです。
みなさんは、どのタイプでしたか?
人それぞれ、どの感覚の入り口が大きいのかは違いますが、3つそれぞれの入り口を使って、脳内の情報のバランスをとっています。
さて、里美さんは、何かを作りたい、染め物のコースにした、裸足で歩きたい、という欲求があることから、③の体性感覚の入り口が大きなタイプ。今の生活は、雑誌の切り抜きを集めたり、ラジオをつけっぱなしにして①視覚、②聴覚の情報が入るようになっていますが、里美さんの脳は、「③の体性感覚(触ったり体を動かしたりする)が刺激されることがもっとあればなー」と感じている様子です。
いつも黒っぽい洋服を選びがちな里美さん。ピンクの服を買ってはみるものの、なんか違うなーといつも着替えてしまう。これは①の視覚を基準にして選んだ場合ですね。
そこで、里美さんの脳に不足がちな③の体性感覚を基準に選んでみましょう。ピンクの服の素材や型はどうでしょうか。イマイチ着心地がしっくりこないのは、色のせいではないのかもしれません。
いつもの黒い服はどんなところが好きですか? 「さらっとした素材」「軽い」「動きやすい」など、の基準にあてはまるピンクの洋服ならしっくりくると思います。
生活の中で、「○○したいなー」と思ったら、それは視覚、聴覚、体性感覚のどれを欲しているのか。それが分かると、上手に素敵なものが選べて、自分らしいスタイルがつくれそうですね。
里美、34歳 会社員 既婚、子どもなし
仕事は事務職で、営業マンのサポートを行っている。営業マンとサポートスタッフのチーム。チームの中ではベテランで、営業マンからもサポートスタッフからも頼られる「姐さん」的なポジション。
仕事とは別に、何かを自分で作りたい、と思う気持ちが強くある。それが何なのか、何ができるかわからないけれど、自分が「いいな」と思うものを作ったり集めたりしたい。そういうことに携わりたい。そう思って、この夏は海外の学校に一週間通って、布を染めるコースを学ぶことにした。山の方、自然の中、緑の中で暮らしたいと強く思う。自分が好きな写真を雑誌で見つけると切り抜いて集めている。

【里美のとある朝の様子】
いつもは7時起床だが今日はめずらしく6時30分に目が覚めた。すぐには起き上がらず、少しうとうとしてから起きる。
いつものとおり、炊飯器のスイッチを入れ、洗濯機を回し、自分と旦那の弁当をつくる。
スリッパが嫌いで、家にいるときはできるだけ裸足で歩きたい。でも、そうすると旦那に「不潔だからやめて」と怒られる。
先に出勤する旦那を送り出した後、ラジオを聞きながら朝食。朝はいつもラジオをつけっぱなしでテレビはつけない。食事の後、洗顔、化粧、着替え。
その日着る服は、着替えるその時に決める。今朝は一度服を着た後、何か違うなあと思って服を替えた。着る服は、黒っぽいものを選びがち。ピンクなど明るい色の服も持っているのに、いざ着ようとすると「無理だな、違うな」と思ってしまう。

その後、洗濯物を干し、部屋を片付けてゴミを集めて家を出る。家を出るのは9時。始業が9時30分なのでギリギリだが、いつもこのくらい。早めに起きているのに毎朝ギリギリになってしまう。

私たちの脳は、物事を判断するときに、外から情報を仕入れなければいけません。外から脳に情報が入るための入り口は、3つあります。①視覚(見ること)②聴覚(聞くこと)③体性感覚(触ったり、体を動かすこと)です。
※五感の中の嗅覚、味覚は、特殊な感覚なので、ここでは上記の3つを対象にします。
この3つの入り口のうち、どの入り口が大きいかは、皆さんそれぞれ違います。

例えば、好きな人や恋人、夫婦で相手のことを「いいなー」と感じるときは、次のどれですか?
①相手のファッションや外見を見ているとき

②相手の話や声を聴いているとき

③手をつないだり、体が触れているとき

①の人は、視覚の入り口が大きなタイプ。風景や美術館を鑑賞することが好きで、色や形を眺めることで感動します。相手の洋服の色や形、模様などに注目してほめることが多いです。自分の洋服でも柄やロゴが気に入ったり、CDやスナック菓子、お酒などのジャケ買いをすることがあります。
②の人は、聴覚の入り口が大きなタイプ。ラジオや音楽鑑賞が好きで、人の声や話からの抑揚、テンポに心地よさを感じます。相手の声、話し方、口癖、イントネーションに注目し、それに対して親近感や嫌悪感を抱くことが多いです。CMのフレーズを良く覚えて思わず口ずさんだり、関西出身でもないのに関西弁っぽい話し方をするときがあるなど人の話し方がうつってしまうこともあります。
③の人は、体性感覚(触覚、体の動き)の入り口が大きなタイプ。手工芸やスポーツが好きで、手触りや質感、体の動きを感じることでスッキリします。相手の身に着けているものの素材に注目したり、しぐさや姿勢に注目してほめることが多いです。「ふわっと」「シャキッ」などの擬音語のコピーの商品に魅力を感じてを買うことがが多く、人にスポーツを教えるときも、相手のフォームの観察や言葉で説明するよりも、とりあえずやってみせることが多いです。
みなさんは、どのタイプでしたか?
人それぞれ、どの感覚の入り口が大きいのかは違いますが、3つそれぞれの入り口を使って、脳内の情報のバランスをとっています。
さて、里美さんは、何かを作りたい、染め物のコースにした、裸足で歩きたい、という欲求があることから、③の体性感覚の入り口が大きなタイプ。今の生活は、雑誌の切り抜きを集めたり、ラジオをつけっぱなしにして①視覚、②聴覚の情報が入るようになっていますが、里美さんの脳は、「③の体性感覚(触ったり体を動かしたりする)が刺激されることがもっとあればなー」と感じている様子です。
いつも黒っぽい洋服を選びがちな里美さん。ピンクの服を買ってはみるものの、なんか違うなーといつも着替えてしまう。これは①の視覚を基準にして選んだ場合ですね。
そこで、里美さんの脳に不足がちな③の体性感覚を基準に選んでみましょう。ピンクの服の素材や型はどうでしょうか。イマイチ着心地がしっくりこないのは、色のせいではないのかもしれません。
いつもの黒い服はどんなところが好きですか? 「さらっとした素材」「軽い」「動きやすい」など、の基準にあてはまるピンクの洋服ならしっくりくると思います。
生活の中で、「○○したいなー」と思ったら、それは視覚、聴覚、体性感覚のどれを欲しているのか。それが分かると、上手に素敵なものが選べて、自分らしいスタイルがつくれそうですね。
Posted by 日刊いーしず at 12:00
2013年09月05日
第1回 英子の場合vol.1
日常よく見られるクセや習慣、趣味は、実は、脳の働きにとって重要な意味をもっています。脳が求めてしているクセもあれば、そのクセがあることで何だか毎日がうまくいかなくなっているということもあります。
このコラム「クセ活用術」では、3人の人物に登場していただきます。

彼らの日常を見ていきながら、それぞれのクセや習慣をしているときの、脳の中をのぞいてみましょう。
すると、もっとイキイキと、自分らしく生きていくためには、実は、毎日の何気ない行動にチャンスがあるとことが分かってくるはずです。
登場人物3人のゆくえを見守りながら、皆さん自身の生活を充実させていきましょう。
◆英子の場合 vol.1
英子、29歳、会社員。肩書はあるセクションの長。
仕事はデスクワーク中心で、1日中PCに向かい、文章を書いたり、記事のレイアウトをしている。
企画の採択やチェックなど全体を見渡して調整していく役割。
今の仕事はパッとひらめいたアイデアが形になっていくのが面白いし、重要なポジションにやりがいも感じている。ただ、一方で、自分の考えを実現するために会社の中でどう振る舞えば良いのかというのは迷うことが多い。自分自身でどっしり腰を据えて面白いものを書いてみたいとも思っている。それが何なのかはハッキリ分からず、毎日忙しく生活している。

【英子のとある朝の様子】
朝は大抵目覚ましが鳴る前に起きる。
カーテンを開けて、ラジオをつける。テレビは見ない。
ベランダに出て、いつもなんとなく富士山の位置を確認する。
ベランダガーデニングで育てている植物に水をやりながら、葉っぱについている虫がいないかを細かく探す。「週末留守にするときに水があげられないけど、枯れないかなぁ・・・」と考えながら。鉢植えを見ながら「もう少し大きい鉢に移してあげればいいのになぁ・・・」と思いつつ、今日もなんとなくそのままにしている。
食事は、冷凍しておいたパンを焼いてかじる。
週末に趣味の登山に行くため、サイトを見ながらどのルートにしようかを考える。

お茶を飲んで、ごみを出してから歩いて出社。
通勤中にいつも通学の中学生たちを見る。ふと「みんな同じ制服を着て同じ場所に行くのか・・・。なんかそういうのイヤだなぁ・・・」と考える。

脳が何かの問題を解決しようとするとき、2種類の働き方があります。
① 「同時処理(どうじしょり)」と②「経次処理(けいじしょり)」です。
例えば、旅行の計画を立てるシーンを思い浮かべてください。
海に行くとして、あなたはどちらのタイプですか?
①行先の情景を思い浮かべて盛り上がる

②行先までの行き方を調べてルートを考える

①の方は「同時処理」タイプです。脳の別々の場所が同時に働いて、パッとひらめきます。人が考えつかないアイデアをひらめくのが得意で、いつも完成した状態が頭に浮かび、それに向かって作業を進めるトップダウン思考の持ち主。細かい決め事が嫌いで、「だいたいこんな感じで」とイメージが共有できればスムーズにことを進めることができます。ただし、話が飛ぶことが多く、脈絡がないこともしばしば。順番通り用事を済ますのが苦手で「ついでにこれもやっちゃえば」と脇道にそれやすい。
②の方は「経次処理」タイプです。脳のしかるべき場所が順番に働いて、「分かった!」となります。物事の法則性を見抜くのが得意で、いつも目的を達成するための作業手順を頭に浮かべるボトムアップ思考の持ち主。自分が決めた手順が乱されることが嫌いで、順番通りことが進んだこと自体に満足します。ただし、予定外の事態に対応することが苦手で、決定していたはずのことが変わったりするとイラッと。どういう順番で予定を組んだかを人に説明することが多く、目的を見失いやすい。
みなさんは、どちらのタイプでしたか?
脳のタイプによって、処理方法が異なるわけですが、この2つのタイプは、どちらかに偏っているという意味であって、どちらも私たちの脳の中には存在しています。両方の処理方法を使い分けながら、毎日しなやかに生活をしているわけです。この2つのタイプがバランスよく使えれば、どんな問題もササッと解決できそうですよね。「このバランスよく使う」ということを無意識に行っているのが、「クセ」です。
さて、英子さんの脳はというと、パっとひらめく同時処理タイプ。同じ制服を着て同じ学校に通う中学生を見ると、「もっと自由に個性を大事にすべき」と思ったりします。しかし、そんな英子さんは社会人になってちょっと変わってきたみたい。会社組織の中で、目的を果たすためには、誰に、どの順番で話を通すか、という順番通りの行動が大事だということも、感じてきました(本人は気づいていませんが)。同時処理タイプの英子さんにとって、会社の中で重要なポジションをこなすには、ちょっと酷な部分も。「バーッとやっちゃえばいいじゃん!」という気持ちを抑えつつ、周りの社員のペースも重要視しなければいけません。
そんな英子さんに対して、英子さんの脳は、英子さんに経次処理の課題を少しずつ与えて、順番通り処理する脳を鍛え始めました。まずはラジオ。テレビのように完成イメージが視覚的に飛び込んでくるものではなく、順番通り話が展開していきます。そして、葉っぱについた虫探し。全体像ではなく、細部を順番に見ていく脳を鍛えます。
経次処理脳を鍛えつつも、そちらに偏りすぎないように調整しているのが、富士山の位置を確認する行為。自分がどの位置を軸に立っているのかという全体像をつかむ脳もバランスよく使っておきます。
そして、登山です。社会人になってから「山ガール」デビューをした英子さん。登山の中の、工程表をつくって十分な準備をして、順番通り目標を達成していくという要素で、経次処理脳を鍛えています。さらに、登山にはイレギュラーな出来事もつきもの。立てた予定通りいかない場合の臨機応変は、英子さんのお手の物。継次処理脳を鍛えながら、得意な同時処理脳を活かす、まさに英子さんの脳をバランスよく使う格好のアクティビティが登山だということです。
英子さんの朝は、得意なひらめき能力を、会社組織の中で開花させるための絶妙な習慣(クセ)で構成されていました。
毎日の何気ないクセ。脳の仕組みが分かると、それ自体を大事に行うことができますね。そうすれば、もっと毎日がうまく回りだします!
このコラム「クセ活用術」では、3人の人物に登場していただきます。

彼らの日常を見ていきながら、それぞれのクセや習慣をしているときの、脳の中をのぞいてみましょう。
すると、もっとイキイキと、自分らしく生きていくためには、実は、毎日の何気ない行動にチャンスがあるとことが分かってくるはずです。
登場人物3人のゆくえを見守りながら、皆さん自身の生活を充実させていきましょう。
◆英子の場合 vol.1
英子、29歳、会社員。肩書はあるセクションの長。
仕事はデスクワーク中心で、1日中PCに向かい、文章を書いたり、記事のレイアウトをしている。
企画の採択やチェックなど全体を見渡して調整していく役割。
今の仕事はパッとひらめいたアイデアが形になっていくのが面白いし、重要なポジションにやりがいも感じている。ただ、一方で、自分の考えを実現するために会社の中でどう振る舞えば良いのかというのは迷うことが多い。自分自身でどっしり腰を据えて面白いものを書いてみたいとも思っている。それが何なのかはハッキリ分からず、毎日忙しく生活している。

【英子のとある朝の様子】
朝は大抵目覚ましが鳴る前に起きる。
カーテンを開けて、ラジオをつける。テレビは見ない。
ベランダに出て、いつもなんとなく富士山の位置を確認する。
ベランダガーデニングで育てている植物に水をやりながら、葉っぱについている虫がいないかを細かく探す。「週末留守にするときに水があげられないけど、枯れないかなぁ・・・」と考えながら。鉢植えを見ながら「もう少し大きい鉢に移してあげればいいのになぁ・・・」と思いつつ、今日もなんとなくそのままにしている。
食事は、冷凍しておいたパンを焼いてかじる。
週末に趣味の登山に行くため、サイトを見ながらどのルートにしようかを考える。

お茶を飲んで、ごみを出してから歩いて出社。
通勤中にいつも通学の中学生たちを見る。ふと「みんな同じ制服を着て同じ場所に行くのか・・・。なんかそういうのイヤだなぁ・・・」と考える。

脳が何かの問題を解決しようとするとき、2種類の働き方があります。
① 「同時処理(どうじしょり)」と②「経次処理(けいじしょり)」です。
例えば、旅行の計画を立てるシーンを思い浮かべてください。
海に行くとして、あなたはどちらのタイプですか?
①行先の情景を思い浮かべて盛り上がる

②行先までの行き方を調べてルートを考える

①の方は「同時処理」タイプです。脳の別々の場所が同時に働いて、パッとひらめきます。人が考えつかないアイデアをひらめくのが得意で、いつも完成した状態が頭に浮かび、それに向かって作業を進めるトップダウン思考の持ち主。細かい決め事が嫌いで、「だいたいこんな感じで」とイメージが共有できればスムーズにことを進めることができます。ただし、話が飛ぶことが多く、脈絡がないこともしばしば。順番通り用事を済ますのが苦手で「ついでにこれもやっちゃえば」と脇道にそれやすい。
②の方は「経次処理」タイプです。脳のしかるべき場所が順番に働いて、「分かった!」となります。物事の法則性を見抜くのが得意で、いつも目的を達成するための作業手順を頭に浮かべるボトムアップ思考の持ち主。自分が決めた手順が乱されることが嫌いで、順番通りことが進んだこと自体に満足します。ただし、予定外の事態に対応することが苦手で、決定していたはずのことが変わったりするとイラッと。どういう順番で予定を組んだかを人に説明することが多く、目的を見失いやすい。
みなさんは、どちらのタイプでしたか?
脳のタイプによって、処理方法が異なるわけですが、この2つのタイプは、どちらかに偏っているという意味であって、どちらも私たちの脳の中には存在しています。両方の処理方法を使い分けながら、毎日しなやかに生活をしているわけです。この2つのタイプがバランスよく使えれば、どんな問題もササッと解決できそうですよね。「このバランスよく使う」ということを無意識に行っているのが、「クセ」です。
さて、英子さんの脳はというと、パっとひらめく同時処理タイプ。同じ制服を着て同じ学校に通う中学生を見ると、「もっと自由に個性を大事にすべき」と思ったりします。しかし、そんな英子さんは社会人になってちょっと変わってきたみたい。会社組織の中で、目的を果たすためには、誰に、どの順番で話を通すか、という順番通りの行動が大事だということも、感じてきました(本人は気づいていませんが)。同時処理タイプの英子さんにとって、会社の中で重要なポジションをこなすには、ちょっと酷な部分も。「バーッとやっちゃえばいいじゃん!」という気持ちを抑えつつ、周りの社員のペースも重要視しなければいけません。
そんな英子さんに対して、英子さんの脳は、英子さんに経次処理の課題を少しずつ与えて、順番通り処理する脳を鍛え始めました。まずはラジオ。テレビのように完成イメージが視覚的に飛び込んでくるものではなく、順番通り話が展開していきます。そして、葉っぱについた虫探し。全体像ではなく、細部を順番に見ていく脳を鍛えます。
経次処理脳を鍛えつつも、そちらに偏りすぎないように調整しているのが、富士山の位置を確認する行為。自分がどの位置を軸に立っているのかという全体像をつかむ脳もバランスよく使っておきます。
そして、登山です。社会人になってから「山ガール」デビューをした英子さん。登山の中の、工程表をつくって十分な準備をして、順番通り目標を達成していくという要素で、経次処理脳を鍛えています。さらに、登山にはイレギュラーな出来事もつきもの。立てた予定通りいかない場合の臨機応変は、英子さんのお手の物。継次処理脳を鍛えながら、得意な同時処理脳を活かす、まさに英子さんの脳をバランスよく使う格好のアクティビティが登山だということです。
英子さんの朝は、得意なひらめき能力を、会社組織の中で開花させるための絶妙な習慣(クセ)で構成されていました。
毎日の何気ないクセ。脳の仕組みが分かると、それ自体を大事に行うことができますね。そうすれば、もっと毎日がうまく回りだします!
Posted by 日刊いーしず at 12:00